第9回日本うつ病リワーク協会年次大会
大会長 要 斉
(医療法人 要会 かなめクリニック 院長)
このたび、2026年4月18日(土)・19日(日)に福岡県北九州市の北九州国際会議場にて、第9回日本うつ病リワーク協会年次大会を開催する運びとなりました。
当会は2008年に本協会の前身「うつ病リワーク研究会」が発足し、2018年には現在の「日本うつ病リワーク協会」として新たな一歩を踏み出しました。2025年1月31日現在、203の会員医療機関と1,094名の会員によって構成されています。
2025年4月に長野県松本市で開催された第8回大会では、大会長の鷲塚伸介先生を中心に、多くの皆様のご尽力により盛会裡に終了いたしました。人と体験の交流に加え、信州の豊かな風土と文化に触れる貴重な機会をいただき、心より感謝申し上げます。
医療リワークは、休養・薬物療法・個人リハビリのみでは職場復帰が難しいケースの増加を背景に、社会的ニーズに応えるかたちで発展してきました。多職種医療スタッフ、利用者、家族、精神保健スタッフ、企業などとの連携により、より安定した回復が図られています。
当初はうつ病を主対象として取り組まれていましたが、プログラムを通じた観察により、双極性障害(Ⅱ型中心)、発達障害(グレーゾーン)、社交不安障害などを併せ持つケースが多く含まれていることが明らかになりました。医療リワークにより、より正確な診断とアセスメントが可能となり、薬物療法に加えて、各障害に特化した疾病教育や集団療法プログラムも開発・導入されています。
また、現代社会における体験不足や対人関係の未熟さによる課題にも、「安全な集団の中での相互交流を通した学び」によって、主体的な成長を促す場としての重要な役割を担っています。
一方で、すでに確立された医療リワークの一端だけを見ると、これから導入を目指す施設にとっては、敷居の高さを感じさせるかもしれません。当院でも2011年に北九州市で医療リワークを開始しましたが、試行錯誤の連続でした。情熱を持って取り組みつつ、先行施設に学びながら地域や施設の実情に応じて工夫し、限られた資源の中で運営を続けてまいりました(なお、医療保険点数面での支援が乏しい点は残念な現状です)。
そこで今回の大会テーマは「変わることと受けいれられること ~医療リワークの発展と運用~」といたしました。
私たち治療者自身も、医療リワークを通じて多くの気づきと学びを得ており、それがやりがいや喜びに繋がっています。しかし一方で、自らの未熟さに向き合い、現状を変えることには躊躇や抵抗も伴います。本大会では、これまでの医療リワークの歴史をふりかえり、困難やその克服、創意工夫の過程を率直に共有することで、互いに学び合い、それぞれの変容のきっかけとなる場としたいと考えております。
4月中旬の北九州は新緑が美しく、春の訪れを感じられる季節です。会場の北九州国際会議場はJR小倉駅から徒歩圏内とアクセスも良好です。近隣には小倉城、松本清張記念館、北九州市立漫画ミュージアムなど文化施設も充実しており、合間に北九州の魅力をお楽しみいただけます。
また、懇親会では地元の味覚とともに、「バナナのたたき売り」や「小倉祇園太鼓」の実演も予定しております。北九州ならではの食と文化をお楽しみいただきながら、心豊かな交流のひとときをお過ごしいただければ幸いです。
皆様のご参加を、心よりお待ち申し上げております。